何度かに分けて、私とペアダンスの師であるピエール・デュレイン氏との出会いについ
て話します。今回は1回目です。
私はニューヨークで23年間ダンスの活動を行いましたが、その間、バレエ、ジャズ、
タップなどの一人で踊るダンスを中心にやっていた時代があります。ただその頃から、
ペアダンスには常に興味がありました。と言うのも、ダンスを私が始めたきっかけにな
ったフレッド・アステア(俳優・ダンサー)という人物は、時に一人で踊りますが、多くの場合、女性とスクリーンの中で踊っていたからです。ですので、例えばバレエの公演を観にった時でも
、私の目が輝くのは男女が組んで踊るパドドウのシーンでした。そのような理由で、常
に舞台でペアダンスを踊る「アメリカンボールルームシアター」(以下、ABrT)の名前だけは、知っていました。私が後に所属することになる舞踊団です。
ある時、このABrTの主催で、一年間ボールルームを無料で教えてくれるクラスを作ると
いうことで、ダンサーのオーディションをするチラシを見ました。私は本格的にペアダ
ンスをやってみたこともなかっただけに、ただ興味本位で、万が一受かっても断ればい
いくらいのつもりで、オーディションに行きました。オーディションでは、スウィング
、ワルツ、バレエなどを踊りました。スウィングは少し知っていたのですが、ワルツは
全く経験がなかったので、踊れませんでした。
ただ、オーディションが終わってみて、帰る途中にふと「このままミュージカルやダン
スの公演をしていて(当時の私の主な活動です)、将来はどうなるのだろう。ひょっと
すると、このペアダンスとの出会いが私にとって、この先大きなものとなるのではない
か」と思いました。
今回はここまで、次号に続きます。
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