アメリカンスタイルと競技スタイル①

アメリカンスタイルと競技会のスタイル(日本で一般的に「社交ダンス」と呼ばれるもの)の違いは一言では説明できませんが、今日はその中でいくつかお話させて頂きます。

   まず、競技用は文字通り競技に出ることを目的として作られているため、ステップが容易ではありません。学年で言うと高校レベルといったところでしょうか。それに対してアメリカンスタイルは幼稚園レベルの「歩く」(二人で向かい合って息を合わせて歩くこと、始めは意外と難しいものです)ところからスタートし、小学校1年生からひとレベルずつ上達できるよう出来ています。これは、ダンスに限らずどんなことを習うときも同じだと思います。そして小学生レベルの数少ないステップでも、パーティなどで音楽に合わせて楽しく踊ることが出来ます。高校生レベルになった頃には、ダンスの基礎、楽しみ方などしっかりと身についているので、そこから競技用のスタイルを始めても、ステップの違いはあるにせよ、無理せず踊れます。

   また、アメリカンスタイルは音楽をとても大切にします。アメリカンスタイルを練習されている方にとっては当たり前かもしれませんが、ダンスは音楽があってのものです。いい曲で踊ると楽しみも倍増します。競技用はどうしても足型中心になりますので、かなり上級レベルにならない限り、足型に気を取られてしまい音楽を楽しむところまで行かないことが多いようです。更に、カウント2からはじまる競技用のルンバやチャチャチャではリズムを外して踊っている方を何度となく見たことがあります。アメリカンスタイルは全てカウント1からはじまります。

   もちろん習っていく段階で音楽を「聴く」練習をすればどんなスタイルでもリズムに合わせて踊ることは可能です。

   最後になりましたが、競技用でモダンと呼ばれるダンス(ワルツ、タンゴ、他3種目)を踊る際、ペアでぴったりと体をつけたまま踊ります。アメリカンスタイルではラテンのように片方の手だけを組んで踊るステップがモダンにも多くあります。同じ種目でもスタイルで違いがあるのは皆さんにとっても興味深いことだと思います。

   競技用スタイルとアメリカンスタイル、私自身どちらの資格も持っていますし、共通の、そして、それぞれの素晴らしさがあります。アメリカの社交ダンススタジオなどでは、まずどんな人でもアメリカンスタイルからはじめ、その後はそのままアメリカンスタイルを極める人、競技会用のスタイルも加えて勉強する人などに分かれます。日本の皆さんがペアダンスと初めての出会う時に、競技会スタイルだけでなく、気軽に始められ一歩ずつレベルアップできるアメリカンスタイルという選択肢があれば、さらに多くの人にペアダンスの楽しさを知って頂けるような気がします。

長くなりました!また来月ここでお会いしましょう。